第1話 鳥白島へようこそ
豊かな自然に囲まれた、小さな島――鳥白島。高校生の鷹原羽依里は、母方の叔母にあたる岬鏡子に誘われ、夏休みの間、祖母の遺品整理を手伝うことになっていた。「さしずめ俺は、傷ついた渡り鳥か……」木陰で無防備

第2話 夏休みの過ごし方
鳥白島では島外からの来訪者を『渡りの人』と呼び、歓待するのが習わしとなっていた。鳥白島の少年団の面々――すぐ上半身裸になりたがる三谷良一や、ゴツい水鉄砲で上半身裸の不届き者を狙撃する野村美希、卓球に異

第3話 海賊船と少女
鳥白島での変わらない日常――鏡子から蔵整理の手伝いをやんわり遠慮され、羽依里はいつものように島を散策していた。そこで出会う、大きなスーツケースを引きずる好奇心旺盛な少女、久島鴎。鴎は初対面にも関わらず

第4話 ひと夏の宝物
『10年後僕達が再び集う時のために、この夏に見つけたこの島の秘密を、この宝箱に封印することにする』この夏休みを、鴎と冒険することに決めた羽依里。小学校の屋根裏部屋で見つけた宝箱を開けるべく、手帳に書か

第5話 ひげ猫団の冒険
宝箱を開けて手に入れた地図を頼りに、冒険へと出発する羽依里と鴎。地図に記された印には、鴎が10年前のサマーキャンプで知り合った仲間達と発見した、海賊船があるという。今は使われていないトロッコの線路を歩

第6話 七つの海を越えて
海賊船を発見した直後、鴎は羽依里の前から幻のように姿を消してしまった。少年団に協力を求め、再び洞窟に入って鴎を探す羽依里。そこで、鴎のスーツケースだけが発見される。スーツケースの中には『ひげ猫団の冒険

第7話 灯台と歌と少女
繰り返される夏休み――叔母の鏡子から祖母の遺品整理の手伝いに誘われ、鷹原羽依里が鳥白島にやってくる。「さしずめ、歌を忘れたカナリアか」 様々な出会いを通じて、羽依里は島での賑やかな日々を過ごしていた。

第8話 やりたいこと探し
「残りの夏休み、全部紬にあげる」という羽依里の案に、静久も全面的に賛成する。紬の「やりたいこと」は、パリングルスの空き容器で灯台にベランダを作ることに決まった。こうして、羽依里と紬、静久の特別な夏休み

第9話 紬とツムギ
羽依里と静久の前から、突如として姿を消してしまう紬。二人は紬を探すべく、ヴェンダース邸の場所を島の人達に訊いて回る。そこで、駄菓子屋のおばーちゃんから、灯台守が金髪の女の子を探し回っていたという昔話を

第10話 一生分の夏休み
「あけましておめでとう、紬!」 紬と過ごす最後の一週間――羽依里の提案で、一年分のイベントが催されることとなる。静久だけでなく、しろはや蒼たち少年団や、うみも協力してくれて――羽依里と紬はバレンタイン

第11話 夏の蝶と夜の少女
繰り返される夏休み――叔母の鏡子から祖母の遺品整理の手伝いに誘われ、鳥白島にやって来た羽依里。少年団による歓迎会が開かれ、すっかり島に馴染んでいく。中でも、駄菓子屋でバイトをするちょっぴりムッツリスケ

第12話 空門の巫女
夜の山中で、光る蝶――七影蝶を集める蒼を目撃した羽依里。翌日、いつものように眠そうにしている蒼に、羽依里は前夜のことを尋ねる。なんのことかと誤魔化す蒼だが、何かを隠していることは明白で……。さらに踏み

第13話 比翼の蝶たち
未練を残して亡くなった人の記憶の残滓――それが、七影蝶。蒼が探しているのは、何年ものあいだ昏睡状態に陥っている双子の姉・空門藍の七影蝶だった。優れた姉に負い目を感じていた、かつての蒼。嫉妬から引き起こ

第14話 夜明けの記憶
ついに目覚めた藍と、感動の再会を果たす蒼。少年団のみんなも祝福に訪れ、安心した蒼は眠りに落ちるが……まるで藍と入れ替わるかのように、目覚めることなく眠り続ける。診療所に通い、藍と共に蒼の目覚めを待つ羽

第15話 夏休みを忘れた少女
繰り返される夏――夜のプールで一人泳ぎの練習をしていた鳴瀬しろはは、祖父の遺品整理を手伝うために鳥白島を訪れた鷹原羽依里と出会う。『とある事情』から、島の人たちと距離を置き、ぼっちを貫いていたしろは。

第16話 デートじゃないし
良一と天善から、鳴瀬家が島の神事や祭事のすべてを司る家系だと教えられた羽依里。迷信深い島の人たちから、しろはは特別視されているようで……。それもあってか、周りと距離を置いて孤立しているしろは。羽依里は

第17話 夏鳥の儀
いつしか惹かれ合い、晴れて両想いになった羽依里としろは。しろはは羽依里に、隠していた事実を打ち明ける。それは、自分が鳥白島に伝わる行事の『夏鳥の儀』で溺れてしまうことを未来視したこと。おそらく、自分は

第18話 夏休みをもう一度
繰り返される夏――祖母の遺品整理を手伝いため、鳥白島を訪れる羽依里。そこで羽依里は、親戚に当たるという幼い少女・加藤うみと出会う。島の人たちとの出会いと交流を通じて、楽しい夏休みを過ごす羽依里であった

第19話 まほうのえにっき
「おかーさんといっしょに、したいこと……ある」 うみの願いを叶えるため、羽依里としろははうみと『疑似家族』の関係を築いていく。うみのためにプールにウォータースライダーを作ったり、紬と一緒に歌を歌ったり

第20話 結婚
父親が隠し持っていた母の写真を頼りに、鳥白島に来たと羽依里に打ち明けたうみ。うみは七影蝶を追いかけ、崖から転落してしまったらしく――話を聞き終えた羽依里は、うみが未来から来た自分の子供であると理解する

第21話 波間の足跡
『蝶番の契り』で仮の夫婦となる羽依里としろは。そしていよいよ、しろはに不幸に見舞われるとうみが未来視した『夏鳥の儀』が始まる。羽依里が側に付き、しろははつつがなく儀式を行っていくが……。沖に流されてい

第22話 あの夏へ
恋人として、『二人きり』の楽しい時間を過ごす羽依里としろはであったが――現像された写真や、チャーハン、見知らぬ紙飛行機などに触れ、なにか欠落したような思いに囚われてしまう。そんな中、二人は何かに導かれ

第23話 七海
鳥白島にどこからともなく現れた、記憶を失った少女・七海。七海は運命に導かれるように、鳴瀬家へ向かい――そこで、鳴瀬小鳩と、その孫娘の幼い少女・しろはと出会う。人見知りのしろはと少しずつ近づいていく七海

第24話 おひさまのある場所
ついに『おとーさんのチャーハン』を完成させた七海。チャーハンを食べたしろはは、「おとーさんのあじ」と喜んでくれるが……。しろはの願いで小鳩にもチャーハンを食べさせると、その味から勝手に定食屋を使ってい

第25話 未来の思い出
七影蝶の導きで、自分の正体が未来のしろはの娘であることを知った七海。しろはの母のことを知るために、加藤家の岬鏡子に会いに行く。そこで、以前聞いた『白羽の伝承』のことを詳しく聞かされて……。七海は鏡子の

第26話 ポケットをふくらませて
無数の七影蝶に包み込まれ、存在が消えていく中で、七海はうみへと戻った。そこで17歳のしろはと再会し、すべてを成し遂げた達成感に包まれるうみ。しかし、羽依里たちと過ごす夏の日々はもうやってこない。おかー